Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

おちぼ

野菊の墓

伊藤 左千夫

Lisez 野菊の墓 (おちぼ) de 伊藤 左千夫 (いとうさちお) en japonais avec furigana. JLPT N3. Touchez un mot pour le sens.

N3 · intermédiaire · kanji et kana modernes · 25 621 caractères · 52 écrans

Aozora Bunko

四

帰る道々み篶子の事ばかり思いつつ帰って来た。み篶子は矢野が父の友人の娘で今年まだ十六にしかならない。矢野が大学を卒業すれば、み篶子が矢野に嫁するということは、誰が話すともなくきまっている。み篶子は心が若くてまだとりとめた恋心もないらしいが、矢野は深くみ篶子を愛している。ふたりが直接に話し合ったことはないにしてもうたがいのある間がらではない。

元来矢野は意志の力が強く天品詩人的な男だから、浮薄な名誉心などに動かされる質ではないけれど、み篶子ゆえには世俗的の名誉も求めねばならないような気がしているのも事実である。み篶子という人がなかったらば、矢野は平気で一年休学したかも知れなかった。しかし矢野が幾多の不安をいだいて上京するに至ったのは深き家庭の事情に原因していることもちろんだ。

四

矢野は東京の空気のなんとなく荒けていて、病身な自分には、すこぶる気味悪く思われてならなく、十日二十日といるうちには、必ずからだに異状を起こすだろうと恐れておったところ、もう一カ月の余たっても、少しも身に変化を感じない。それにようやく下宿にもなずみ、学校にもなれて、すべてのうえに安静を得て来た。