Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

きんろう

金狼

久生 十蘭

Lisez 金狼 (きんろう) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 89 438 caractères · 179 écrans

Aozora Bunko

この格闘は、ひと月に五六度は、きまってくりかえされるのだった。

葵はこの環境から逃げだすことばかり考えていた。もとより母は※人でたのみにならない。ここから逃げだして、世の中で生きてゆくには、自ら営々とその力を養うほかはないことを覚った。ただひとり、彼女に力をあわしてくれたのは、一週に三度ずつやってくる、若い女の家庭教師だった。葵は、あらゆる方法を、感情を、手芸を、世間を孜々としてこの婦人から学びとった。葵は十八歳の秋に家をすてた。五島列島の福江島へゆき、そこの、加特力信者の漁師の家に隠れた。(これは家庭教師の生家だった)二十一の春までそこで暮らし、神戸のダンス・ホールで二年ちかく働き、二た月ほど前に東京へ帰ってきて〈シネラリヤ〉へ通いはじめた。

葵が警察で自分の過去をうちあけなかったのは、こんどひき戻されると、もう、久我に逢うすべがなくなるからであった。(正明は健全で、しきりに彼女の帰宅を待ちわびている)こういう場合警察が彼女の味方をするべきいわれはない。六年前の捜査願を適用して、完全にその職能をはたすであろう。

久我を偽っているのは、ひとえに、彼女の劣性家系を知られたくないからだった。