Classiques japonais avec furigana
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きんぎょはしんでいた
金魚は死んでいた
大下 宇陀児
Lisez 金魚は死んでいた (きんぎょはしんでいた) de 大下 宇陀児 (おおしたうだる) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 10 514 caractères · 22 écrans
それはたしかに、あたりまえですが……その生きていた時には、元気にひらひら游いでいたといいましたから……」
「ちよッ! なにいつてるんだ。ものが金魚だろう。生きていたら、ひらひら游ぐのだつてあたりまえだぞ。それともランチュウつてやつは、游がずに、しやつちよこ立ちでもしているのかな」
「あッ、そうか、それも……そうでした。ランチュウは頭が重いせいか、游ぎながらでも、しやつちよこ立ちになることが多いんですよ。――ええと、しかし、へんですねえ」
「どうも困つた男だな。いつたい何がどうしたというんだね」
「そうでした。すみません。わけをハッキリと話さなくちやいけなかつたんです。実は、この事件の発見者は、島本守という若いお医者さんでしたね」
「そうだよ。そのとおりだよ」
「ところが、その島本が、私に、金魚はひらひらしていて美しかつたといつたんですよ。――いや、そんなふうにいつたのじや、わかりませんね。事件現場での話です。私は、金魚のことばかり気にしていました。それから島本に、生きていた時の金魚はどんなだかつて聞いたんです。島本は、ぼたんの鉢を老人のところへ持つてきて、庭で老人と立話をしたというのですから、その時に、金魚を見たはずだと思つたからです。