Classiques japonais avec furigana
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いさん
銀座復興 他三篇
水上 滝太郎
Lisez 銀座復興 他三篇 (いさん) de 水上 滝太郎 (みなかみたきたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 40 579 caractères · 82 écrans
三人は黙々として下って行った。どおんと遠くで土の落るような音がすると、間もなくぐらぐら揺れて来る地震も、今ではもう怖くはなくなっていた。一郎も澤も、乙子と養子の無慙な死に対し、又あんまり無雑作に人間が圧倒された自然現象に対して、腹立たしい自棄の心持から、死んでも惜くないような気持だった。
町筋の倒れた家のあたりでは、一たん逃げたのが又戻って来て、男も女も家財を取出すのに血眼になっていた。もう一揺り来れば、ひとたまりもなさそうな半つぶれの家にさえ踏込んで行く人間の、財貨に強い執着を持っている有様を、一郎も澤も苦々しく思った。自分達が今行こうとする所には、二人の若い女が死んでいるのだと思うと、ただその人達が無事でさえいてくれたら、他の事はどうでも天に任せると云う気持もあった。
海へ行く道を曲ると、六尺とはない狭いところへ、両側の家の石垣や塀が倒れたり、所々地割のした場所もあったが、みんなが想像した程水は来ず、別荘のある近所は、僅かに浪頭がかぶった位と見えて、砂地が汚ならしく濡れているばかりだった。
「浪は来なかったんだね。」
圧死した二人は、その上に海嘯にさらわれたものと想像していたが、それだけは免かれたのを知った。