Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控 猿回し
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控 猿回し (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 125 671 caractères · 252 écrans
「また夜とて――と来やがった」
「お隣の五人娘を、遠い物干から眺めては、爪を噛んだり、色文を書いたり、土用風邪を引いたり、ハックション」
「きたねえな。そこら中唾だらけだ」
「腰抜け彌八の土用風邪の真似に身が入ったんですよ。ところで、親分、クシャミに虹が張るのを、あっしは生れて初めて見ましたが、こいつは、金儲けか何んかの前触れじゃありませんかね」
「いい加減にしろよ、馬鹿々々しい。それから腰抜け彌八はどうしたというんだ」
「最初は一番可愛らしい祭が目当てだったが、この娘はたった十七で、腰抜け彌八が半日眺めて居たって、まだ顔を赤らめることも知らないほどのねんねだから、張合い抜けがして、今度は一番年嵩のお半に乗り換えた。もっとも年嵩と言っても、二十一の脂の乗り切ったところだ」
「――」
「そのお半はまた、腰抜け彌八なんかを屁とも思わないから、次には、お六に乗り移り、それからお房に変り、近頃は一番綺麗なお萩の御機嫌取に夢中だ」
「豪傑だね、その男は」
「岩見重太郎だって、こう臆面もなくは行きませんよ。この一年の間に書いた、色文だけが三百六十五本」
「まさか」
「嘘じゃありませんよ。