Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(九) 全十冊
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(九) 全十冊 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 41 029 caractères · 82 écrans
この男はお専が好きで一緒になったが、芸事に凝って商売が身につかず、年中おさらいや素人芝居や、金のいることばかり追い廻して歩くので、朝倉屋の主人三五兵衛に愛想をつかされ、義理の弟の竜吉のお守ということにして、螢沢の寮に体の良い島流しになっている厄介な男です」
「…………」
平次は黙って考え込んでおりました。
「外になにかありませんか」
「あるよ。その寮へ兄夫婦や奉公人に気がつかないようにして、出入りすることは出来ないか」
「そんなことはたぶん出来ないと思いますが」
「多分か――」
「だって畑の中の一軒家でしょう。どこから来たって、二三町先から姿が見えますよ」
「それから竜吉は右利きか左利きか」
「首の右の方の凧糸に火箸を突っ込んで捻っているから、間違いない右利きですよ」
「お前に訊いてるのじゃない。螢沢へ行って、朝倉屋の三五兵衛にでも訊いて来るんだ」
「ヘエ」
「もう一つ、二つ、――竜吉の側に水がなかったか――竜吉が死んでいたとき、凧がどこにあったか――畑の向うの浪人立花なんとかいう人の家には、誰と誰がいたか――この寒いのに、娘のお妙はやっぱり窓を開けて羽子をついていたか――これだけ訊いて来るんだ」