Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(九) 全十冊
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(九) 全十冊 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 41 029 caractères · 82 écrans
平次はようやく此処までお妙を追い詰めたのです。その返事一つでは八五郎が飛びかかって、このか弱い処女に繩をうったかも知れません。
「では、皆んな申しましょう、――これだけは、誰にも漏らさないはずでしたが――」
お妙は陽を避けて、斜に平次と対しました。病弱な娘は、その知恵も、心情も、世の常の娘よりは発達が早いらしく、――虫喰いの果物が、早く色づくのと同様、この娘には十八か十九とは思えぬ、考え深さと美しさが、不具らしい成熟を遂げているのでした。
「聴きましょう、お嬢さん」
「竜吉さんと、あのお姉さんは、姉弟と言っても母親が違い、日頃仲が悪かったことは御存じでしょうね」
「…………」
「内儀さんは弟と仲が好いように申しておりました。でも、竜吉さんのお手紙には、姉さんを怨む言葉のないことはなかったのです」
「…………」
「その竜吉さんは、長い病気で姉夫婦にどんなに持て余されていたことでしょう。でも、腹違いとは言っても、本当の姉のお専さんが、弟を殺す気になったとはなんとしたことでしょう」
「姉が弟を?」
平次もこの言葉にはさすがに胆を潰しました。
「私はこの眼で、この部屋から、確かに見ました。