Classiques japonais avec furigana
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まぶたのはは
長谷川伸傑作選 瞼の母
長谷川 伸
Lisez 長谷川伸傑作選 瞼の母 (まぶたのはは) de 長谷川 伸 (はせがわしん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 94 753 caractères · 192 écrans
お蔦 (思い出して泣けてくる顔を隠すとて、後向きになり、声を低めて唄い出す、故郷の名物、八尾の小原節)おらちゃ友達や、さたね(菜種)の花よ、ハア、どこいしょのしょ。
茂兵衛 (お蔦を見あげ、黙って行きかける)
お蔦 (唄いつづける)盛り過ぎればオワラちらばらと。取り的さんちょいと。
茂兵衛 まだわしは八里余り歩かなくてはならないのだ、行くよ。
お蔦 利根川の渡し船は十六文だよ。(帯の間から巾着を出して投げてやる)
茂兵衛 え。
お蔦 食べる物をあげたいけど、ここの家は吝ッ垂れで話にならない。あたしの身上ありッたけやるから、どこかで何か食べてお行き。
茂兵衛 貰って行ってもいいのか。後で姐さんお前が困りゃしないか。
お蔦 あたしあ、年がら年中困りつづけだから、有っても無くっても同じことさ。遠慮しないで持ってお行き。
茂兵衛 半分貰います。
お蔦 吝ッ垂れな、今に横綱になる取り的さんじゃないか。
茂兵衛 だってな、わしも一文なしで困ってきたんだ、姐さんだって一文なしでは。
お蔦 やけの深酒は毒と知りながら、ぐいぐい呷って暮すあたしに、一文なしも糸瓜もあるもんか。