Classiques japonais avec furigana
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ずいひつ しんへいけ
随筆 新平家
吉川 英治
Lisez 随筆 新平家 (ずいひつ しんへいけ) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 213 575 caractères · 424 écrans
ことしは、鵯越えから一ノ谷。――そして、どの辺まで、この秋までにすすむだろうか、正直なはなし、自分にもはっきり見当がついていない。
明日の生き方は、自分でも本当には分かっていないように、小説のテーマも構想も、次は次になってみないと分からないのである。もっとも、これはぼくだけの癖かもしれない。
前々回の「鼻と金売り」のくだりを、読者はひどく興味をもったらしい。前後が戦陣だの窮屈なお座船といった描写だったので、浴衣がけの二人が親しまれたものであろう。そこでまたぞろ、「あんな人物がじっさいいたのか」と、よく史実を訊かれるが、金売り吉次は、牛若伝説の人物で、読者も知っている通りである。そして、朱鼻の伴卜の方は、日本商人史の中の一人物を借りて来たものと、正直に答えている。
いったい平安期や源平時代の商業機構などは、多少の研究もあるにはあるが、極めて概念程度で、まだ深い考究はなされていない。それに、経済組織となると、複雑で、時代事情の相違がはなはだしく、正面の歴史よりはるかに呑みこみ難い。
ついでに断っておくが、たれかが「鼻の伴卜は、大野伴睦がモデルか」といった人がある。