Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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ずいひつ しんへいけ

随筆 新平家

吉川 英治

Lisez 随筆 新平家 (ずいひつ しんへいけ) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 213 575 caractères · 424 écrans

Aozora Bunko

ようである。投書を見ても、その根づよさには、驚かされる。

ぼくらがついきのう体験してきた近代戦にしてさえ、今もって未帰還者があり、南方の孤島に十年を過ごした兵士やら、土人の中に溶けこんで妻をもち子を生ましている旧日本兵の父親も現実にあるのである。壇ノ浦の平家人が、一門海のもくずになったなどと考えるのは、それ自体が、史実ではない。当然彼らも、あくまで、生き抜こう、生き長らえようとしたであろう。ぼくの平家観としてもそう思う。

といって、諸地方にある伝説通り、安徳帝の事蹟をそのままうのみにも出来ないのである。なぜなら、その随臣の姓名など、どの地方でも、みな同一人に限られている。古典平家や盛衰記の中にみえる人名しか伝わっていない。これはすでにその伝説が、あらかた、古典に拠って生じた古典後期のものという立証になるからである。

奥里将建氏の近著「院政貴族語と文化の進展」という一書は、壇ノ浦以後の平家を考える上に、さまざま文化史的な諸問題を提示しており、近ごろ興味ふかく読んだ。奥里氏の学問的な追究によれば、いよいよ、平家絶えずの感を深くされ、人間平家史、文化平家史の永遠性が信じたくなる。