Classiques japonais avec furigana
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ずいひつ しんへいけ
随筆 新平家
吉川 英治
Lisez 随筆 新平家 (ずいひつ しんへいけ) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 213 575 caractères · 424 écrans
そして人間性の本然と、生命の自然な流れを基底にして、再検討してみる余地がありはしないか。そういう懐疑から出たぼくの宿題なのである。
北陸、東北、近畿あたりの平家部落は、もちろん壇ノ浦の落武者ではあるまい。政権の一変と、以後の支配者の圧迫による地方の平家与党の遁亡であろう。彼らの中には、そのころの人間の潔癖とか、廉恥とか、あるいは自尊的な考えからも、きのうまでの平家与党たる誇りをもって、追放のない天地へ、そして権力や闘争に左右されない自然の土壌へ、進んで移住して行った者も、多かったのではあるまいか。
新支配力の下から弾き出された者も、自衛的に移住し去った者も、いい合わせたように、かれらが、甦生の土壌で選んだ子孫までの生活の姿は、戦争放棄であった。
鎌倉期以降の治乱興亡の中の人々は、権力への執着がつよく、生き代り死に代り、敗者となり、勝者となり、容易に武力をすてていないが、平家部落からは、ふたたび源氏を仆そうという旗は挙がっていない。
なんとなく、ここに平家人らしい、諦観が共通していたように考えられる。世に栄えていたときの平家文化の特色もそこにあったのではあるまいか。