Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
せいねん
青年
Lisez 青年 (せいねん) de Mori Ōgai (森 鴎外) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 123 670 caractères · 246 écrans
石に触れて水の激する早川の岸を歩む。片側町に、宿屋と軒を並べた匠の店がある。売っているのは名物の湯本細工である。店の上さんに、土産を買えと勧められて、何か嵩張らないものをと、楊枝入れやら、煙草箱やらを、二つ三つ選り分けていた。
その時何か話して笑いながら、店の前を通り掛かる男女の浴客があった。その女の笑声が耳馴れたように聞えたので、店の上さんが吊銭の勘定をしている間、おもちゃの独楽を手に取って眺めていた純一が、ふと頭を挙げて声の方角を見ると、端なく坂井夫人と目を見合せた。
夫人は紺飛白のお召縮緬の綿入れの上に、青磁色の鶉縮緬に三つ紋を縫わせた羽織を襲ねて、髪を銀杏返しに結って、真珠の根掛を掛け、黒鼈甲に蝶貝を入れた櫛を挿している。純一の目には唯しっとりとした、地味な、しかも媚のある姿が映ったのである。
夫人の朗かな笑声は忽ち絶えて、discret な愛敬笑が目に湛えられた。夫人は根岸で別れてからの時間の隔たりにも、東京とこの土地との空間の隔たりにも頓着しないらしい、極めて無造作な調子で云った。
「あら。来ていらっしゃるのね」
純一は「ええ」と云った積りであったが、声はいかにも均衡を失った声で、しかも殆ど我耳にさえ聞えない位低かった。