Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
こうでん
香奠
豊島 与志雄
Lisez 香奠 (こうでん) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 22 989 caractères · 46 écrans
所が晩になると、薄汚い電燈が一つついて、古い不恰好な洋服を着た主人が戻って来ますし、その家に不似合なハイカラな娘が戻って来ますし、十四五の男の子も戻って来ます。そして皆で飯を食って、寝てしまうんです。それを二階の窓から見てると、実に変な気持がします。何だかこう、何もかもつまらないような……何もかも淋しいような……何もかも馬鹿げてるような……何もかも滑稽なような……実際変梃です。そして私があんまり覗いてたせいか、向うに顔を見知られてしまって、或る朝、植木の影から顔を出したとたんに、こちらを見上げてる顔とぶっつかって、ひょいとお辞儀をしてしまったんです。」
「誰とだい。」
「娘とです。」
そして彼は不意に浅黒い顔を赤らめました。
「なあんだい、それで恋でもしたというのかい。」
「いいえ恋はしません。」と彼は真面目くさっているんです。
「じゃあどうしたんだい。」
「どうもしません。」
「だってそれっきりというのは可笑しいね。」
彼は何か気に喰わぬことでもあるらしく、むっつりと口を噤んでしまいました。で私はそれ以上追求するのを止めて、他の話を――芝居のことなんかを――初めましたが、彼は余り気乗りがしないらしく、上の空で返辞をしながらもじもじしています。