Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

たかおざんげ

高尾ざんげ

豊島 与志雄

Lisez 高尾ざんげ (たかおざんげ) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 10 252 caractères · 21 écrans

Aozora Bunko

二人の仲は、互に愛し合ったというのではなく、旦那と芸者との最も普通な水準だったでありましょうか。

それでも、菊千代の心に深く残ってることがありました。梶さんの出発間際に、公開の舞踊の会がありまして、菊千代は『高尾ざんげ』を出しました。戦争は次第に苛烈さを増して、踊りの会などもそれが最後かと思われました。梶さんは忙しい時間をさいて、永井さんと一緒に来てくれました。

菊千代は心をこめて高尾の霊を踊りました。塚の出から廓の物語など、自分でも気持ちよいほどみごとに運びましたが、どうしたことか、終りになってつまずきました。照明が変って夜明けの色が漂うあたりで、彼女の心は唄の文句から離れてゆき、稲妻の光りが交叉し、世の人の煩悩につきまとわれるあたりになると、もう彼女は高尾の霊になりきれず、なにか夢を追い求める一抹の気が、責め呵まれる形を崩してしまいました。そして最後に、塚の中へひっこむことが一瞬ためらわれる、そこのところを、別な気持ちから漸く調子を合せました。

楽屋で、お師匠さんは鋭い眼付きで菊千代をじっと眺めましたが、何にも言いはしませんでした。菊千代も、てれたように黙っていました。