Classiques japonais avec furigana
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こうやひじり
高野聖
泉 鏡花
Lisez 高野聖 (こうやひじり) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 36 025 caractères · 71 écrans
いや蒼空の下へ出た時には、何のことも忘れて、砕けろ、微塵になれと横なぐりに体を山路へ打倒した。それでからもう砂利でも針でもあれと地へこすりつけて、十余りも蛭の死骸を引くりかえした上から、五六間向うへ飛んで身顫をして突立った。
人を馬鹿にしているではありませんか。あたりの山では処々茅蜩殿、血と泥の大沼になろうという森を控えて鳴いている、日は斜、渓底はもう暗い。
まずこれならば狼の餌食になってもそれは一思に死なれるからと、路はちょうどだらだら下なり、小僧さん、調子はずれに竹の杖を肩にかついで、すたこら遁げたわ。
これで蛭に悩まされて痛いのか、痒いのか、それとも擽ったいのか得もいわれぬ苦しみさえなかったら、嬉しさに独り飛騨山越の間道で、お経に節をつけて外道踊をやったであろう、ちょっと清心丹でも噛砕いて疵口へつけたらどうだと、だいぶ世の中の事に気がついて来たわ。抓っても確に活返ったのじゃが、それにしても富山の薬売はどうしたろう、あの様子ではとうに血になって泥沼に。皮ばかりの死骸は森の中の暗い処、おまけに意地の汚い下司な動物が骨までしゃぶろうと何百という数でのしかかっていた日には、酢をぶちまけても分る気遣はあるまい。