Classiques japonais avec furigana
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こうやひじり
高野聖
泉 鏡花
Lisez 高野聖 (こうやひじり) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 36 025 caractères · 71 écrans
婦人はじっと瞻って、
(まあ、いいじゃないか。そんなものはいつでも食られます、今夜はお客様がありますよ。)
(うむ、いや、いや。)と肩腹を揺ったが、べそを掻いて泣出しそう。
婦人は困じ果てたらしい、傍のものの気の毒さ。
(嬢様、何か存じませんが、おっしゃる通りになすったがよいではござりませんか。私にお気遣はかえって心苦しゅうござります。)と慇懃にいうた。
婦人はまたもう一度、
(厭かい、これでは悪いのかい。)
白痴が泣出しそうにすると、さも怨めしげに流眄に見ながら、こわれごわれになった戸棚の中から、鉢に入ったのを取り出して手早く白痴の膳につけた。
(はい。)と故とらしく、すねたようにいって笑顔造。
はてさて迷惑な、こりゃ目の前で黄色蛇の旨煮か、腹籠の猿の蒸焼か、災難が軽うても、赤蛙の干物を大口にしゃぶるであろうと、そっと見ていると、片手に椀を持ちながら掴出したのは老沢庵。
それもさ、刻んだのではないで、一本三ツ切にしたろうという握太なのを横銜えにしてやらかすのじゃ。
婦人はよくよくあしらいかねたか、盗むように私を見てさっと顔を赭らめて初心らしい、そんな質ではあるまいに、羞かしげに膝なる手拭の端を口にあてた。