Classiques japonais avec furigana
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たいとあかだこ
鯛と赤蛸
佐藤 垢石
Lisez 鯛と赤蛸 (たいとあかだこ) de 佐藤 垢石 (さとうこうせき) en japonais avec furigana. JLPT N1. Touchez un mot pour le sens.
N1 · avancé · kanji et kana modernes · 1 249 caractères · 3 écrans
一本鈎の漁師は出来よくて一日に二、三枚の大鯛が釣れるのみだ。それも運に恵まれた日で、多くは空魚籠である。それに引きかえ、カズラ網の方は一曳きに五、六百貫の大鯛が入るのだから、一本鈎の漁師がカズラ網に釣り場を荒らされると思うのは当然だろう。
私が見物に行ったときも、大鯛が網から溢れるほど入っていた。私は、七、八貫目のものを一尾買い求めた。その鯛は、湾内に居付きの、緋牡丹色した鱗光鮮やかなものではなかった。産卵のために外洋から、この湾内へ乗っ込んできたものらしく、くびと背の鱗に暗紫色の艶がういていた。
釣った鯛と、カズラ網で捕った鯛と違うところは、尾である。釣った鯛は、くびから尾の先まで、どこにも傷がないけれど、カズラ網で捕った鯛は、尾の先がささらのように割れている。鯛は、網の片木縄に追われて逃げるとき尾端を岩根にすり当てるから、こう割れてしまうのである。こんなわけで、一本鈎で釣った鯛よりも、カズラ網で捕った大鯛の方が、三、四割方は安いのである。
鯛を買うと、私はすぐ腹を割ってみた。それは、いまの鯛はなにを食っているかを見るためである。胃袋に一杯入っていた餌は、小型の蛸であった。