Classiques japonais avec furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(一)
吉川 英治
Lisez 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 262 100 caractères · 523 écrans
かいつまんだ話を聞いて、
「そうですか、それはもう住吉村には誰もおりますまいよ」といってから、「では、いまだに鴻山殿の居所は分りませんかな」
それを訊ねに来た弦之丞へ向って、源内の方から訊ねている。
「皆目聞き及ぶところがございませぬ。拙者は、源内殿こそご承知ではないかと存じて、お見かけ申したのを倖いに、こうお邪魔申した訳でござるが」
「いかさま、一緒にいた私がそれを知らねばならぬ筈だ。ですがな弦之丞様、何しろワッと来られたのが真夜中で、鴻山殿が浜から小舟に飛び乗ったのは見ましたが、それから先はお互いにちりぢりばらばら……もっとも、この源内はあなた方のもくろみに、何の関りもないのでして……」
変なところで断りを付け加えた。するとその時、
「ご免下さいまし……」
優しい声の訪れがする。見ると、萩の乱るる垣根越しに白い横顔――下婢を連れてたたずんだのが、細かい葉の間から艶めかしい姿をチラつかせている。
「お入り」
源内が机の側から細い顎を見せると、下婢を外へ残して、つつましやかに入ってきた若い女は、病家の者であろう、
「あの、先生、おさしつかえはございませんの? ……」