Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
なるとひちょう
鳴門秘帖(一)
吉川 英治
Lisez 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 262 100 caractères · 523 écrans
周馬だ! 万吉はなんとなくこう思った。
「畜生ッ」
ブルブルッと身をふるわせて、
「焔の中から、命がけで救ってきたお千絵様を、うぬに、取り返されて堪るものか!」
何の猶予があるものではない。
彼は、周馬の影が、ものの二十歩と拝殿の前を去らぬまに、一気に、うしろへ追いついた。
「待てッ」
ムズと、その腰帯をひッつかむ。
一振りふってねじ倒すつもりだったが、周馬もさる者、どッこい、そうはさせねえと万吉の手を払って、横へ七尺ばかり、つッ――と体を避けたかと思うと、
「なんだ、てめえは?」
怖ろしい目で、万吉を睨めた。
あの総髪を風にそよがせ、美女の姿を引っ抱えた旅川周馬の影、その時、昔物語にでもありそうな悪鬼かなんぞのように見える。
万吉は、こいつの度胆を抜いてやろうという気で、
「おお、おれは法月弦之丞様に頼まれて、お千絵様の蔭身に添う万吉という者だ」
ふところの十手をつかんで、明らさまに名乗ってしまった。それで、ぎょッとするかと思うと、周馬は、鼻の先で、
「ふム……弦之丞の差金か」
「その弦之丞様が江戸へ帰ると、うぬの首も危なくなるぞ。悪いことはいわねえから、お千絵様を俺に渡して、今のうちに、どこかへ姿を隠す算段でもしやがれ」