Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

なるとひちょう

鳴門秘帖(一)

吉川 英治

Lisez 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 262 100 caractères · 523 écrans

Aozora Bunko

「や、こりゃ孔雀長屋の者じゃねえか」

「紋日の虎だ。紋日の虎五郎だ」

虎といえば、知らぬ者はない程なあぶれ者、驚きながら抱き起こすと、朝酒でもあおっていたところを斬られたとみえて、おびただしい血がこんこんと吹き流れている。

「この野郎め、また酒を食らやがって、人の見境なく喧嘩でも吹ッかけやがったに違いねえ。ざまア見やがれ、といってやるところだが、悪い奴でも、こんな深傷を負っちゃ可哀そうだ。オオ、番屋の戸板を外してきねえ」

気転のいいのが三尺を解いて、傷口を押さえているまに、持ってきた戸板へ怪我人をのせ、祭りのように、ヤッサヤッサと五十間を急ぎだした。

ゾロゾロとついてくる弥次馬を追ッ払って、四、五人の顔役だけが戸板と一緒におはぐろ溝の小橋を渡り、路次の狭い長屋の奥へ入って行った。

「オオここだぜ、虎の家は」

「誰かいるのか」

「ガラ空きだ――誰もいやしねえ」

「隣で聞いてみねえ、隣でよ」

戸まどいをしている間にも、虎五郎の顔は土色に変ってきて、戸板の隙からポタポタと垂れる血汐も力なく細ってくる。

「オイ、隣の衆――」と、一人が台所から首を突っこんで、

「この虎五郎の家はガラ空きだが、誰か家の者はいねえんですか、大変が起きたんだ、大変が」