Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
なるとひちょう
鳴門秘帖(一)
吉川 英治
Lisez 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 262 100 caractères · 523 écrans
「大儀でござった」
鴻山は駕側の者をねぎらって、少し離れた所に、茫然と立っている、お綱と万吉のそばへ寄ってきた。そして不意に、
「お綱殿――」と呼びかけた。
いつぞやこの人の紙入れを掏ろうとしたことから、身の素姓を話して、何百両の金まで恵まれている鴻山に改まって、お綱殿と、丁重に呼ばれたから、ひそかに卑下を持つかの女の心はハッとしたらしかった。
「万吉と一緒に、阿波へお渡りあろうという御決心、けなげに存ずる。で――鴻山が心ばかりの餞別、おうけとり願いたい」
と、唐突にいって、懐中から取り出したものをお綱の手へ渡した。それは美濃の垂井の宿、国分寺の割印を捺した遍路切手で、それを持って国分寺にゆけば、この三月の中旬に、阿波八十八ヵ所の遍路にのぼる道者船の便乗をゆるされるということだ。
今、阿波二十七関は、一切、他領の者を入れぬが、宗法の者ばかりは、それを拒むことができないので、春と秋二度の道者船に限ってそれをゆるす掟である――と、常木鴻山は、さらに詳しく説明した。
先に江戸を立って行った法月弦之丞も、垂井の国分寺に行って、ひそかに、それへ便乗する用意をしている筈、今から、道を急いで行ったら、或いはそこで落ちあうことができるであろう。