Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
なるとひちょう
鳴門秘帖(一)
吉川 英治
Lisez 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 262 100 caractères · 523 écrans
「そういわれると、諦めている命も急に惜しくなります。だが親分……所詮この容体じゃ助かりッこはありません」
「養生は気の持ちよう、しっかりしてくれ。二人の旅は他国と違って、船路も陸も関のきびしい蜂須賀領、しかも、生死の知れぬ世阿弥様へ秘密な手紙を持って入り込もうというずいぶん危ねえ勝負ごとだ。なんでてめえのほかにめったな者を連れて行かれるものか」
「アア助かりてえ……親分、多市はきっとこの傷を癒して、同じ死ぬなら、阿波の土を踏んでからくたばります……」眼を閉じ、唇を噛んで、負けぬ気の性根でそうはいったものの、呪われた二ヵ所の太刀傷ズキズキと痛みだすもののごとく、青白い皮膚にはこらえる汗が膏となって滲みでる。お米も、何とはなしに貰い泣きして、側から額の汗を拭いてやり、その手拭を由造へ渡した。
「冷たい水で、も一度しぼり直してきておくれ」
「へい」と、由造が立って濡れ縁へ出た時である。バサッ――と窓際の青桐が揺すれ、人の駈け出すような寒竹のそよぎがした。
「あっ、どこの客だろう」
「何だえ、今の音は?」お米がそこに出て見ると、表二階の客、蜂須賀家の森啓之助が、妙な気振でスタスタと植込みの中へ隠れて行った。