Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
なるとひちょう
鳴門秘帖(一)
吉川 英治
Lisez 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 262 100 caractères · 523 écrans
上の空なお米の心は、森啓之助の仲間が、目早くそれを見つけ、この駕の後からつけてくることを夢にも知らない。
京大阪へ別れの辻、東海道へはふりだしの大津追分、宿の家なみはうす黒く暮れて、馬や駕や旅人のかげも絶え、夕顔の花と打水に濡れた道と軒の明りがところどころ。
針屋、そろばん屋、陶器屋、その隣には鬼の念仏の絵看板、鉦と撞木をもって町の守り神のように立っている門は、大津絵をひさぐ室井半斎の店である。
「おじさん、今晩は」
藤を持たない藤娘のようなのが不意にこういって入ってきたので、行燈と蚊やりを寄せ、夜業に絵の具をなすッていた半斎、びッくりして鼈甲ぶちの眼鏡を上げた。
「おや、お前はお米じゃないか」
「ええ……」といったきりで川長のお米は、上がり框へ駕づかれの身を寄せて、明りをうしろにうつむいている。
お米には叔父にあたる大津絵師の半斎、
「一人で来たのかい」ジロジロと姪の様子を見まわしていた。
「ええ、急にあの……心配になったものですから」
「何が心配に? ……」
「この間、おじさんのほうへお願いした三人の方が、もしやまた、蜂須賀家のほうへでも知れていやしないかと思いまして」