Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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さとう

麻布襍記 ――附・自選荷風百句

永井 荷風

Lisez 麻布襍記 ――附・自選荷風百句 (さとう) de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 37 256 caractères · 77 écrans

Aozora Bunko

階砌は掃うに人なければ青苔雨なきも亦滑かに、虫声更に昼夜をわかつ事なし。偏奇館徐に病を養い静かに書を読むによし。怨むらくは唯少婢の珈琲を煮るに巧なるものなきを。

○

余花卉を愛する事人に超えたり。病中猶年々草花を種まき日々水を灌ぐ事を懈らざりき。今年草廬を麻布に移すやこの辺の地味花に宜しき事大久保の旧地にまさる事を知る。然れどもまた花を植えず独窓に倚り隣家の庭を見て娯しめり。

呉穀人が訪秋絶句に曰く、豆架瓜棚暑不レ長。野人籬落占二秋光一。牽牛花是隣家種。痩竹一茎扶上レ墻と。わが友唖々子に句あり。「夏菊や厠から見る人の庭。」われ此れに倣って「涼しさや庭のあかりは隣から。」

余今年花を養わざるは花に飽きたるにあらず。趙甌北が絶句に、十笏庭斎傍二水涯一。鳳仙藍菊燦如レ霞。老知光景奔輪速。不レ種二名花一種二草花一。といえるを思えば病来草花を愛するの情更に深からずんばあらず。然るに復之を植えざるは何ぞや。虫を除くの労多きを知るが故なり。啻に労多きのみにあらず害虫の形状覚えず人をして慄然たらしむるものあるが故なり。鳳仙藍菊の花燦然として彩霞の如くなるを看んと欲すれば毛虫芋虫のたぐいを手に摘み足に踏まざるべからず。