Classiques japonais avec furigana
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こうちょうのなげき
黄鳥の嘆き
甲賀 三郎
Lisez 黄鳥の嘆き (こうちょうのなげき) de 甲賀 三郎 (こうがさぶろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 40 792 caractères · 82 écrans
重明は二年以上不眠症に悩んで、催眠剤を呑み続けていたので、今は次第に激しい薬剤を多量に取るようになって、普通の人なら、一回分でも危険な位の程度になっていた。然し、重明ならば二回分一時に呑んでも、生命に危険を及ぼす事はない筈だった。もし数回分を一時に呑めば危険だが、重明は太田医師から貰う催眠剤を溜めている様子は少しもなかった。一日置きに小間使の千鶴が太田医院に行って、貰って来る二日分を、きちんと二回に呑んでいたのだった。
だから、重明の死因は太田医師の与えた催眠剤でない事は明白だった。然し、催眠薬は確かに呑んだ形跡があるから、恐らく、それと同時に取った他の毒薬の為に死んだものに違いないのだった。(無論自然死ではないのだ)二川家では過失で多量の催眠剤を呑んだ為かも知れないと、新聞記者に話したが、それは一つの体裁であって、過失という事は全然あり得ないのだった。覚悟の自殺という他はないのである。
「どういう毒物を呑んだのか、分りませんので、太田さんは解剖して見たらといっておられますがね、どうかと思っています」
と、重武はつけ加えた。(之は後に警察側からの要求で、解剖される事になった)