Classiques japonais avec furigana
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こうちょうのなげき
黄鳥の嘆き
甲賀 三郎
Lisez 黄鳥の嘆き (こうちょうのなげき) de 甲賀 三郎 (こうがさぶろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 40 792 caractères · 82 écrans
父に別れてからは周囲は他人ばかりで、唯一の肉親である兄が却って白眼で見るのだ。只一人の同情者も持たない彼が、童心を苛なまれ、蝕ばまれて行った事がはっきり分るのだ。
だが、僕は叔父その人には同情が持てなかった。何故なら彼は余りに俗的で、厚顔で金銭慾の強い、凡そ僕とは対蹠的な人間だったからだった。もし、彼がもっと典雅で、慎しみ深くて、無慾恬淡だったら、僕は夙うに彼に二川家を譲っていたかも知れぬ。何故なら彼こそ、二川家の正当の相続人なのだ。疑惑に止っていた間でも、僕はそう思っていたのだから、今や僕が二川家に対して、その権利を抛棄すべきであることが、はっきりした場合、一層そうしなければならない筈なのだ。
けれども、僕はどうしても叔父が好きになれないのだ。そして、なんと、彼は汚らわしい詐欺漢だというのではないか。むろん、それは確実ではない――けれども、僕はそれが確実のように思えてならないのだ。わが二川家の血統のうちに、あんな俗物が、あんな厚顔強慾の人間が出そうな筈はないと思うのだ。
と同時に、僕は三十年前の相好と少しも変らないで、大雪渓の下に彫像のように眠っているであろう所の叔父重武が、無限に可憐しく、いじらしくなって来た!