Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

くろゆり

黒百合

泉 鏡花

Lisez 黒百合 (くろゆり) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 78 148 caractères · 154 écrans

Aozora Bunko

」

「うむ。」

「取替えるのがお厭なら。」

「止しねえ、お前、お前さんの方がよッぽど可いや、素晴しいんじゃないか。俺のこの、」

と斜に透かして、

「こりゃ、詰らない。取替えると損だから、悪いことは言わないぜ、はははは、」と笑ったが、努めて紛らそうとしたらしい。

勇美子は燃ゆるがごとき唇を動かして、動かして、

「惜しいの、大事なんですか。」

「うむ、大事なんだ。」といい放って、縁を離れてそのまますッくと立った。

「帰ったら何か持たして寄越さあ、邸でも、庫でも欲しかあ上げよう、こいつあ、後生だから堪忍しねえ。」

勇美子も慌しく立つ処へ、小間使は来て、廻縁の角へ優容に現れた。何にも知らないから、小腰を屈めて、

「お嬢様、例の花売の娘が参っております。若様、もうお忘れ遊ばしたでしょう、冷水は毒でございますよ。」

七

場末ではあるけれども、富山で賑かなのは総曲輪という、大手先。城の外壕が残った水溜があって、片側町に小商賈が軒を並べ、壕に沿っては昼夜交代に露店を出す。観世物小屋が、氷店に交っていて、町外には芝居もある。

ここに中空を凌いで榎が一本、梢にははや三日月が白く斜に懸った。