Classiques japonais avec furigana
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くろゆり
黒百合
泉 鏡花
Lisez 黒百合 (くろゆり) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 78 148 caractères · 154 écrans
お雪はほろりとしたが、打仰いで、淋しげに笑って、
「どうぞ、ねえ。」
二十五
恩になる姫様、勇美子が急な用というに悖い得ないで、島野に連出されたお雪は、屠所の羊の歩。
「どういう御用なんでございましょう。いつも御贔屓になりますけれども、つい、お使なんぞ下さいましたことはございませんのに、何でしょうね、馴れませんこッてすから、胸がどきどきして仕様がありません。」
島野は澄まして冷かに、
「そうですか。」
「貴下御存じじゃあないのですか。」
「知らないね。」と気取った代脉が病症をいわぬに斉しい。
わざと打解けて、底気味の悪い紳士の胸中を試みようとしたお雪は、取附島もなく悄れて黙った。
二人は顔を背け合って、それから総曲輪へ出て、四十物町へ行こうとする、杉垣が挟んで、樹が押被さった径を四五間。
「兄さんに聞いたら可かろう。」島野は突然こう言って、ずッと寄って、肩を並べ、
「何もそんなに胸までどきつかせるには当らない、大した用でもなかろうよ。たかがお前この頃情人が出来たそうだね、お目出度いことよ位なことを謂われるばかりさ。」
「厭でございます。」
「厭だって仕方がない、何も情人が出来たのに御祝儀をいわれるたッて、弱ることはないじゃあないか。