Classici giapponesi con furigana
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あさひのよろい
あさひの鎧
国枝 史郎
Leggi あさひの鎧 (あさひのよろい) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 239.520 caratteri · 475 schermate
と、そういう人々の眼に、白い小さい握り拳ほどのものが、暗い檻の奥の方から、口もとへ蠢めいて来るのが見えた。
「出た――ッ」
「いたぞ――ッ」
「何んだ何んだ!」
白い物は檻の口で足を止め、しばらく動こうとはしなかった。
でもとうとう飛び下りた。
叫喚!
人々はサ――ッと逃げた。
小さい動物は白鼡であった。
あまりのことに武士たちも範覚も、群集たちも度胆をぬかれ、茫然として声も出なかった。
と見てとった頤髯のある男は、鉞を肩にして唄うように叫んだ。
「大山鳴動して鼡一匹! これがよき例にござります! そうしてこれこそ我ら茨組の、最後の芸当にござります」
当意即妙のこの言葉には、武士たちも群集も範覚も、笑うよりほか仕方なかった。
「やられた」
「いやはや」
「ひどい奴らだ!」
「はなから終いまで嬲りおった」
「こうまで嬲られれば腹も立たない」
「通れ通れ、さっさと通れ!」
武士たちは笑いながらそう云った。
「お許しが出た、さあ行こうぞ」
「方々しからばご免候らえ」
「ソレ」
とばかりに茨組たちは、牛車の牛に鞭をくれ、一斉に走らせて自分たちも走り、砂煙りを立てて景気よく、悠々と大木戸をおし通り、伏見の方へ消えてしまった。