Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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あさひのよろい

あさひの鎧

国枝 史郎

Leggi あさひの鎧 (あさひのよろい) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 239.520 caratteri · 475 schermate

Aozora Bunko

でも彼女は布をかかげて、前方を見ようとはしなかった。

(誰も見たくない、何物も見たくない!)

足音は馬酔木の叢を巡って、今まで彼女たちの一団がいた、その方角へ行くようであった。

不意に女の悲鳴が起こった。

つづいて嬰児の泣き声が聞こえた。

「おや」

と早瀬は呟いたが、何がなしに気にかかり、声のした方へ小走って行った。

元いた辺まで走って来た。

つまずいたので足を止めた。

布の裾からわずかに見える、地面の視界の一所に、咽喉をえぐられた女乞食の、その死骸の咽喉の一部と、乳房をあらわした胸の一部と、その胸の上へ乳房を求めて、這い上がって来た嬰児の顔とが、化物絵のように見えていた。

「まあ」

と早瀬は思わず叫び、ベタベタと地上へ坐ってしまった。

「殺されている! ……咽喉をえぐられて! ……では……」

と云ったが黙ってしまった。

しかし彼女の心の眼には、盲目の殺人狂の恐ろしい姿が、持っているという竹の杖と共に、――一度も見たことのない相手なのではあったが……想像によって映し出されていた。

(咒う! 私は、その男を咒う!)

早瀬はしばらく動かなかった。

嬰児がはげしく泣き出した。