Classici giapponesi con furigana
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あさひのよろい
あさひの鎧
国枝 史郎
Leggi あさひの鎧 (あさひのよろい) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 239.520 caratteri · 475 schermate
桂子たちは行ってみた。
顔の前へ白布を垂らし、膝の上へ嬰児をのせた、若い女の乞食がいた。
途方にくれたように、うずくまっていた。
「まあ子持ちのお菰なのね」
気の毒そうに桂子は云った。
「もし」
と、早瀬は声をかけた。
「お乳おありではござりますまいか。……もし、おありでございましたら、この子に飲ませてくださりませ」
「わたし、これでも娘なのだよ」
桂子は微笑してそう云った。
「だから、お乳は出ないのだよ」
「とんだ粗忽を申し上げました」
「あのね」
と、桂子は情け深く云った。
「この林を出て少し行くと、恩地という人のお館があるから、そこへ行って、何かいただくといいよ」
「ご親切にありがとう存じます」
「でも、お前さん何んと思って、こんな林の中などへ入り込んだの?」
「…………」
「いまにも合戦がはじまるというのに、野武士や追い剥ぎが群れをつくって、ここらへ入り込んでいるのだよ」
「はい」
「この林など物騒なのだよ」
「はい」
「人里へ早く行った方がいいねえ」
「はい、ありがとう存じます」
桂子と右衛門とは先へ進んだ。
嬰児の泣き声と子守唄の声とが、追っかけるように聞こえて来た。