Classici giapponesi con furigana
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あさひのよろい
あさひの鎧
国枝 史郎
Leggi あさひの鎧 (あさひのよろい) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 239.520 caratteri · 475 schermate
「浮藻?」
そう浮藻であった。
浮藻は小次郎へ縋りついた。
「小次郎様! どんなにわたしは!」
もう後には言葉はなかった。
連続した叡山の裏山の危難、やっと遁がれて旅へは出たが、その旅も決して幸福ではなかった。そうして今は敵ともいうべき、関東軍に捕えられ、生死のほどもおぼつかない。……それらの艱難の重なりからでもあろう、浮藻は痩せて衰えていた。
ふくよかだった頬はこけ、眼の周囲には隈さえ出来ている。
「浮藻殿!」
と小次郎は云い、その可憐しい肩を抱いた。
旅へ出て以来小次郎は、むしろ厳格に過ぎるほどに、浮藻に対して振る舞った。
それは自分をこのような男に、育て上げてくれた桂子に対する、恩と義理とのためであった。
桂子その人に捧げている、小次郎の心持ちというものは、あの泰西の騎士なる者が、自分を庇護してくれる貴婦人に向かって、捧げているところの心持ちと、ほとんど変わりないものであった。
忠誠と犠牲と奉仕とであった。で、どのように浮藻に対し、愛を感じ恋を感じていても、桂子より許しのない限り、とげようなどとは思わなかった。
で、旅へ出てからも、一緒にいるというばかりで、指一本触れ合おうとはしなかった。