Classici giapponesi con furigana
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あるはいまつのどくはく
ある偃松の独白
中村 清太郎
Leggi ある偃松の独白 (あるはいまつのどくはく) di 中村 清太郎 (なかむらせいたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 132.905 caratteri · 262 schermate
そして誰に言うともなく、
「世の中には、物好きな人間もあればあるものだナァ……」
と、さきほど来の感動を、何とかそんな風にでも、もらさずにはおられなかった。しかし俺の胸は異常に波だっていて、さっぱり考えがまとまらない。皆も煙にまかれた形で、幼い児松どもの中には、
「お爺ちゃん、あれもやっぱり人間なの?」
そんな他愛ない、と言って、決して笑ってしまえない、質問をする者もある。
「……ウム? そうだとも……」
そう答えたものの、俺は又考え込んでしまった。
木々の間から見た山の挿図
暮れ方、懇意な目細の若鳥が、遊びすぎたか、宿を借りに舞い込んで来たので、早速この話を持ち出したら、案外にも、彼の方が俺より先きに、あの男を見知っていた。さすがは鳥だけある。彼の話を聞いて見ると、――二、三日前のこと、北の方の森林境を、ひとりノコノコ登って来た老画家は、最初に出会った大きな偃松の前に、いきなりドッカリ坐り込んで、さもさも懐かしげに、何やら「一年ぶりに会えた……」とかどうとか、まるで人間相手のような挨拶をしたり、かと思うと、あのとげとげしい緑の手を取って、やさしく頬ずりしたりしていたのだそうな。