Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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あるはいまつのどくはく

ある偃松の独白

中村 清太郎

Leggi ある偃松の独白 (あるはいまつのどくはく) di 中村 清太郎 (なかむらせいたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 132.905 caratteri · 262 schermate

Aozora Bunko

三 西沢峠

私の方もまったく思いがけぬ山奥の同宿で、ちょっと物語りの一節の趣きさえ感じられた。

この道はもともと、製紙材料を伐り出すため事業家のひらいたもので、今は用が無くなったので捨てられて、廃滅にひんしている。そこへこの九月の暴風雨で、その運命を促進されたものだ。数年ならずしてまったく通行できなくなるにちがいない。古い木樵り道は上の千挺木の尾根にあるが、この方も木が茂って、もはや荷を持っては通れぬ……云々といった彼らの話が私の耳に残った。猟師は別に獲物も無かったらしく、月が出たら森へ行ってむささびをぶってくれる――などと言って、しきりに銕砲をひねくり廻している。むささびは夜行性で、木から木へとび移る所を射ち落すのだという。しかし背すじに迫る寒さにたじろいだか、口ほどにもなく火にかじりついて、夜がふけても出かけるけはいはなく、ひそかにむささびの肩を持っていた私を微笑ませた。

狭い谷奥の空を、凍りついたような十四日の円月が渡る。仰ぐ森林は蔭深く、河原は霜を浮べて月光に照っている。思わず身ぶるいが出た。

三 西沢峠

鋭い星光に、遅々たる夜明けを待ちかねてしたくする。