Classici giapponesi con furigana
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あるはいまつのどくはく
ある偃松の独白
中村 清太郎
Leggi ある偃松の独白 (あるはいまつのどくはく) di 中村 清太郎 (なかむらせいたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 132.905 caratteri · 262 schermate
こうした、俺たちにとって比較的陰気な冬籠りも、例の恐ろしい雪崩の響きをキッカケに、パッと眼もくらみそうな光明世界の幕が開けて、胸をとどろかせながらアタフタしているところへ、今度はあの快活な、旅の小鳥さんたちが、続々と訪ねてきてくれる。俺たちの世界は、いよいよ陽気になる。鶯、めぼそ、萱くぐり、岩燕、岩ひばり……皆な生れついての音楽の妙手で、話好きで、そして何より山好きな、懐かしい親友ぞろいだ。それに去年ここで生れた、あどけない雛が、見ちがえるばかり、いっぱしの若鳥となって、親兄妹と翼を並べて戻ってくるのも嬉しくめでたい。見もしらぬ南国や海洋、さては人間界の消息まで、さまざまの珍らしい土産話は、一と夏かかっても聞きつくせないくらい。面白いばかりか、それは又見聞のせまいわれわれにとっては、たいへんな学問になる。つくづく鳥たちの境涯をうらやましくも思う。
だが俺たちは、あくまで山の子だ。下界に行く気はないし、又行けもせぬが、そうした宿命をかこつ料簡なぞ、さらさら持とうか。たといたまたま、気まぐれな人間の手で、入念に下界へ運ばれ、やたらに、珍らしいの、枝ぶりがいいのとほめそやされ、やれ盆栽だ、庭木だ、それ土目よ、肥料よ、とチヤホヤされても……ただもう眼が廻るやら、冷汗をかくやら、のぼせ上って、息が詰るばかりで、