Classici giapponesi con furigana
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あるはいまつのどくはく
ある偃松の独白
中村 清太郎
Leggi ある偃松の独白 (あるはいまつのどくはく) di 中村 清太郎 (なかむらせいたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 132.905 caratteri · 262 schermate
残んの雪衾をはねのけて起き上ると、まず、長い重圧で硬直している肢体を、身にしみじみと温かい陽光に、やわらげほぐし、しどけなく寝みだれたもつれ髪を、南風に櫛けずり、雪消の真清水を思い切り啜って、全身を養い、すがすがしい大気を胸いっぱいに吸い込んで、葉緑素を染めかえ……さて前年から用意しておいた若芽を、天心さして萠え立たせ、雌花、雄花をつつましやかに咲きそろわせ、山風に香りも高く、金の花粉をまき散らし、松毬を累々と実らせ、熟させ、その上、来たるべき年の芽や花まで、いち早く身うちに創りあげてゆく……いや実に、いそがしいもいそがしいが、また生き甲斐のある、緊張と充実の明け暮れがつづく。
俺たちは山の子で、また太陽の子だ。この半季というものは、お日様が雲海の果てから、七彩の光芒に揺らめき昇って、天頂に跨がる長大な黄道を、白熱に燃え輝かせては、又雲海のかなたへ、真赤にくるめき落ちるまで……俺たちは一条でも多く、その瑞々しい陽光の恵みに浴せんものと、手足を精いっぱいに張りひろげる。しかも時には、焼けつくような日光の矢と、キラめく氷雪の笞とを同時にこうむり、時には又、潮の香のする颱風に乗った豪雨や、はためく雷電をともなう白雨に、たたかれ、洗われ、あおられもする。