Classici giapponesi con furigana
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かげろうのにっき
かげろうの日記
堀 辰雄
Leggi かげろうの日記 (かげろうのにっき) di 堀 辰雄 (ほりたつお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 30.890 caratteri · 60 schermate
雨間を見ては、お勤の暇々に、私も少しずつ手入れをさせ出していたが、そんな或日の事だった。私の家の方へあの方のお召車らしいのがいつものように仰々しく前駆させながらお近づきになって来られた。丁度その時私はお勤をしていたところだった。人々は「殿がいらしったようだ」などと騒ぎ出していたが、どうせいつものようなのだろうと思いはしたものの、私も胸をときめかせていると、やっぱりあの方は私の家の前はそのままお通り過ぎになってしまわれた。皆はもう物も言えずに、ただ顔と顔とを見合わせているばかりらしかった。私だけは何気なさそうに、さっきから止めずにいたお勤をなおも続けているようなふりをしていたが、しかし心の中には何かいままでについぞ覚えた事のないような、はげしい怒りにも似たものを涌き上がらせていた。――
六月の朔の日、「お物忌のようですから」と門の下から御文をさし入れていった。おかしな事をすると思って、披いて見ると、「もうそちらの物忌も過ぎただろうに、何だっていつまで余所へ往っているのだ。どうもわかり難そうな所なので、つい伺わずにもいるが。――こちらの物詣は穢れが出来たので止めた」