Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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かげろうのにっき

かげろうの日記

堀 辰雄

Leggi かげろうの日記 (かげろうのにっき) di 堀 辰雄 (ほりたつお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 30.890 caratteri · 60 schermate

Aozora Bunko

と書いておよこしになった。そこで私はつい今もいま考えていたままに「山の住いはずっと秋までいたそうと思って居りましたのに、又こうして心にもない里住いをいたすようになりました。――仮りに山に入っても、私のような意気地のない者はまことに中途半端なものでございますこと。だが私も、今度という今度ばかりは本当に苦しい思いをいたしました。しかしそのような苦しい思いも、みんなあの方が私にお与え下さるものとおもえば反っていとしくて、或時などは自分から好んでそれを求めたほどでございました。どうぞこういう言葉を私がただ奇矯な事を申すようにお思いなさらないで下さいまし。そういうおりおりの空けた私にはどうかいたすと、そんな苦しみが無ければないで、反って一層はかなく、殆どわが身があるかないかになってしまいはせぬかと思われる程なのでございますから。――只、それほどまで私にとっては命の糧にも等しいほどな、その苦しみのお値打にも、それを私にお与え下さっている御当人は少しもお気づきになって入らっしゃいませんようなのですもの。私はそれをば此頃あの方のために何んだかお気の毒に思っております位。