Classici giapponesi con furigana
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ちくしょうだに
ちくしょう谷
山本 周五郎
Leggi ちくしょう谷 (ちくしょうだに) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 69.788 caratteri · 138 schermate
んだから、一年ぐらいの辛抱ができないわけはない筈だ」
「理屈はそのとおりですがね、ええ」と岡村が云った、「こっちはそれで押えられても、部落の女たちのほうが問題です、私は去年の七月に来て、冬になるまでいろいろな経験をしました、木戸の者にも相当なやつがいますが、村の女たちに比べるとまだおとなしいほうです、いや、話すことはできません、私が話すまでもなく、もうすぐ朝田さん自身の眼で見ることになりますよ」
「正内老人のことをなにか知っているか」
急に話題が変ったので、岡村七郎兵衛は気をぬかれたとみえ、すぐには返辞をしなかった。
「なるほど」とやがて岡村は頷いた、「老人と話しあうおつもりですね、いい御思案のようだがそれもだめです、老人はそういうことについて、これまでできる限りやってみたようですからね」
「老人がどういう素姓の者かと訊いているんだ」隼人は問い返すような岡村の眼に、首を振って云った、「いや、あの人の名は人別帳にはのっていないんだ」
「――すると、どういうことになるんですか」
「それが知りたいんだ、なにか聞いたことはないか」
岡村七郎兵衛は知らなかった。小者の中には五年も木戸に詰めている者がある、その男は村のことをずいぶんよく知っているようだが、正内老人についてはなにも話したことはない。