Classici giapponesi con furigana
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ちくしょうだに
ちくしょう谷
山本 周五郎
Leggi ちくしょう谷 (ちくしょうだに) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 69.788 caratteri · 138 schermate
十四
「岡村、よせ」と隼人が叱った。
十四
「私はあいつらを追っていたんだ」と西沢がせきこんで云った、「杉林をぬけてゆく二人を私が追っていったことは、誰かがきっと見ていた筈だ」
「それはおれが見ていた」と隼人が云った、「つまらぬ口論はやめろ」
「番頭どのは眼がいいですな」と岡村が云った。
隼人は岡村の顔を見た。岡村は首をすくめ、この死躰を運ぶから集まれ、と足軽たちに呼びかけた。西沢は一人で脇のほうへ寄り、蒼白く硬ばった表情で、なにかぶつぶつ独り言を云っていた。――死躰は村の墓地に埋め、負傷者は木戸の仮牢へ入れた。隼人が繰り返し訊問したけれども、二人は頑強に答えず、盗伐の事実も否定した。檜林では五十年の樹が二本伐られ、一本は根まわりの半ばまで斧が入れられていた。隼人は自分の手に負える相手ではないと思い、詳しい始末書を付けて城下へ送ることにした。
そのころから山は冬の景色に変りだした。空は曇っていることが多く、時雨がしばしば降り、風の強い日は、下の谷間から巻きあげられて来る枯葉が、しだいに色褪せ、ちぢれ、虫くいだらけのものになり、数も日ごとに減るばかりだった。郭公や筒鳥に代って、晴れた日にはつぐみやひたき、頬白、あおじなどの声が聞え、木戸の者たちの中には、辛抱づよく粟や稗を撒いて、かれらを呼びよせようとする者もあったが、