Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ちくしょうだに

ちくしょう谷

山本 周五郎

Leggi ちくしょう谷 (ちくしょうだに) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 69.788 caratteri · 138 schermate

Aozora Bunko

継ぎの当った、丈の短い黒っぽい袷の裾が割れ、眼に痛いほど白くふくよかな内腿と下腹部とが、むきだしになった。隼人はとっさに眼をそらしたので、ふくよかな内腿と下腹部との、張り切った白さだけしか見なかったけれども、あやの動作の思いがけなさと、殆んど作為の感じられない大胆さとに、怒りや、羞恥よりも、むしろ激しい敗北感におそわれた。

「先生、見て、――」とあやが云った、「あたしきれいでしょ」

隼人には云うべき言葉が思いうかばなかった。彼は眼をそむけたまま、檜林のほうへ歩きだした。先生、とあやが呼んだ。隼人は答えずに斜面を登ってゆき、あやが追いかけて来た。あやは隼人の袖を掴んで引止め、彼の前に立ち塞がった。

「あたしが嫌いなの、先生」あやの眼が火がついたようにぎらぎらしていた、「あたし先生が好きなのに、先生はあたしを嫌いなの」

「その話はあとでしょう」

「あたしを抱いてよ」あやは挑みかかるように云った、「ねえ、あたしを抱いて、先生、そうすればいいことを教えてあげるわ」

「娘がいまのようなことをするものじゃあない」云いかけて隼人は口をつぐみ、ゆっくりと首を振った、「この話は村へ帰ってからにしよう」