Classici giapponesi con furigana
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つぼみ
つぼみ
宮本 百合子
Leggi つぼみ di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 21.918 caratteri · 44 schermate
御まきさんはもうどんな時にも御仙さんが可愛くて可愛くてたまらないと云うように見えるし又御仙さんも御母さんがよくってよくってたまらないと云うようなかおつきや口つきをして居た。
御はんがすんでから、わきを向いて御仙さんはふところから懐中かがみを出して一寸紅を唇にさしなおして小さいはけで口のまわりをはたいたりして居た。
私は世間の事も知らずほんとうにややさんのような人のくせにどうしてああ身のまわりの事には気をつけるんだろうと妙に思われた。そしてまだ一度も紅をさした事のない唇をそっとしめした。
間もなく御仙さんが帰ろうと云い出して御まきさんも、
「えらい御やかましゅう。牛込の姉はんのとこに居まっさかえ、貴方も御いでやす。まってまっせ」
中腰をしてこんなことを云いはじめた。
「マア、ようござんしょう、も一寸いらっしゃいよ。まだ早いじゃあありませんか」
御仙さんは母の斯う云うのをきいて心もとなそうに御まきさんの袖をひっぱって居る。
「せっかくどすけど……ここなややさんがききませんさかえ。
ナア、そうやろ、ほんまに大きに御邪魔、御めんやす」
御まきさんは御仙さんに御辞ぎをさせてそそくさと玄関に行ってしまった、