Classici giapponesi con furigana
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ばちあたり
ばちあたり
山本 周五郎
Leggi ばちあたり di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 22.391 caratteri · 44 schermate
「こうらいや」と啓三が云った。
「およしなさい」と姉が云った、「敏夫、――そんなやけなようなことを云って、いったいこれからどうするつもりなの」
「だから、おふくろもそれを心配してたって云ったでしょう、ちょっと失礼」
敏夫は立ちあがって、母の遺骸のある六帖へゆき、自分の四帖半へいったが、すぐに素焼の小さな壺を持って戻って来た。四分の一リットルくらいはいりそうな壺で、口のところに細い繩が巻きつけてあった。
「おふくろ手製の梅酒です」敏夫は茶箪笥からグラスを出して来、壺の木栓を取って、その酒を注いだ、「世間で作るようなやつじゃない、純粋な梅酒、七年経ってるんですよ、失礼だけれどあんた方には差上げません、おふくろがぼくのために作ってくれたもんですからね」
薄い琥珀色の、とろっとした酒で、敏夫は仰向いてそれを喉へ流しこんだ。
「どこまで話したっけな、ああそうか」敏夫は二杯めを呷って云った、「これからどうするつもりか、っていうところでしたね、ええ、あんた方はよく聞いていないらしいが、ぼくは全巻の終りだって云ったでしょう」
「ふざけたことを云うのはよしなさい」と姉がタバコに火をつけながら敏夫を睨んだ、「さんざっぱらおかあさんにあまえたあげく、あたしたちにまで甘ったれるつもりなの、こんなときぐらい少しはまじめになるものよ」