Classici giapponesi con furigana
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ひとでなし
ひとでなし
山本 周五郎
Leggi ひとでなし di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 18.484 caratteri · 38 schermate
おみつは燗徳利を代えて去った。
「まえの旦那――お亡くなりになった旦那も、津ノ正さんとお親しかったんですか」
「親しいっていうほどじゃないけれど」とおようが答えた、「そうね、三年ばかりは親しく往き来したことがあったわ、あたしは津ノ正さんと同じ町内で、お父っさんは餝屋をやっていたのよ、まえの人の家は隣り町にあって、十四の年からうちへ奉公に来たの、それがお父っさんにすっかり気にいられて、とうとうあたしはいっしょにされてしまったのよ」
「餝屋さんだったんですか、それでね」とおつねは櫛を使いながら頷いた、「それで袋物や髪道具をやっている津ノ正さんとお知合だったんですね」
「そうじゃないの、あたしあの人の姉さんに可愛がられていたのよ」とおようは云った、「姉さんていう人はあたしより三つ年上で、同じお師匠さんのところへ長唄のお稽古にかよっていたんだけれど、妹のように可愛がってくれて、しょっちゅう呼ばれて遊びにいっていたし、二日も三日も泊りっきりのこともあったわ」
そしておようは羞かんだような眼つきで、くすっと忍び笑いをもらした。
「いやだわおかみさん、思いだし笑いなんかなすって」