Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ひとでなし

ひとでなし

山本 周五郎

Leggi ひとでなし di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 18.484 caratteri · 38 schermate

Aozora Bunko

二

それは九尺間口の、小料理屋ふうの家であったが、まだ軒行燈も出ていないし、のれんも掛っていず、格子も閉ったままであった。

「おかしいな」

男はそう呟いた。そして、その閉っている店の向うに、源平と大きく書いた提灯の出ている居酒店があり、客が出入りしているのを見ると、なにか口の中で独り言を云いながら、その店へとはいっていった。

二

おつねは長火鉢にかけてある真鍮の鬢盥の中から、湯気の立つ布切をつまみあげ、ふうふう吹きながらざっと絞ると、おようの解いた髪毛へ当てては、結い癖を直した。それをくり返しながら、おつねは休みなしに話していた。

長火鉢にはよく磨いた銅の銅壺があり、燗徳利が二本はいっている。その部屋は帳場を兼ねた六帖の茶の間で、徳利や皿小鉢や盃などを容れる大きな鼠不入と、茶箪笥、鏡台などが並んでいる。長火鉢の脇に、白い布巾を掛けた蝶足の膳が二つあり、また、酒の一升徳利が七本と、燗徳利や片口などが置いてあった。――おようは手を伸ばして、銅壺の中の燗徳利に触ってみ、それから障子の向うへ呼びかけた。

「おみっちゃん、お燗がいいようよ」