Classici giapponesi con furigana
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ほととぎす
ほととぎす
堀 辰雄
Leggi ほととぎす di 堀 辰雄 (ほりたつお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 30.252 caratteri · 60 schermate
自分にとって附けても附けなくとも好いようなものになりかかっていた此日記を、再びこんな切ない心もちで手にとる事があろうとは、夢にも思わなかった事である。
頭の君がお立ち去りになって往かれたのは、もう余程前のことであろう。その跡、私はながいこと、灯をそむけたまま、薄暗いなかに、ひとり目をつむっていた。いつまでもそうしながら、自分でも何をとははっきりと分からないようなものを考えで追い続けていた。そしてその自分でもはっきりとは分からないもののために自分の心が切ないほど揺らいでいるのを、私もまた切なくそれを揺らぐがままにさせていた。……
暫くしてから、私は観念したように閉じていた目をやっと見ひらき、出来るだけ心を落着けるようにして、自分の前にこの日記を置いた。
一生受領だった父が、私のためにいろいろと気づかって呉れて、私達をいまの中川のほとりの住居に移らせて下すったのは、去年の秋の半ば頃だった。殿が私のためにあてがって下すっていた、これまでの家はますます荒れ放題に荒れてきて、もう住み難いばかりになっているとは言え、父の勧告に従って其家を去ってしまえば、同時に殿との間もこちらから絶やすも同様になるので、最近わざわざ志賀の里から引きとったばかりの養女の事など考え、さすがにそれを自分ひとりでは決し兼ねて、まあそう言えば