Classici giapponesi con furigana
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みなかみきこう
みなかみ紀行
若山 牧水
Leggi みなかみ紀行 (みなかみきこう) di 若山 牧水 (わかやまぼくすい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 102.087 caratteri · 203 schermate
山道を続けて歩き得たのも、見様によっては湯の利目だと見られぬこともない。然し私は温泉の効能がそう眼のあたりに表わるるものとは思わぬ者である。胃腸の事はとにかく、風邪にも弱い私が昨年の冬を珍しく無事に過し得たのは(もっとも伝染性の流感には罹ったが)一に白骨のお蔭だと信じている。其処の湯に三日入れば三年風邪を引かぬとも称えられているのだそうだ。
山の上の癖に、渓間であるため眺望というものの利かぬのは意外であった。渓もまた渓ともいえぬ極めて細いものであった。八九町も急坂を登ると焼岳と相向うて立つ高台があった。紅葉が素敵であった。十月に入ると少しずつ色づきそめて、十日前後二三日のうちにばたばたと染まってしまった。それこそ全山燃ゆるという言葉の通りであった。附近の畑にはただ一種蕎麦のみが作られていた。「蕎麦の花ざかり」の言葉もそれから出たものであろうと思われた。
私は時間の都合さえつけば今年の秋も登って行き度いものと思っている。夏がいい、夏ならば東京からも相当に客が来るのでお話相手もあろうから、と宿の者は繰返して云っていたが、それよりも寧ろ芋を洗う様な伊那節を聞く方が白骨らしいかも知れぬ。