Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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みなかみきこう

みなかみ紀行

若山 牧水

Leggi みなかみ紀行 (みなかみきこう) di 若山 牧水 (わかやまぼくすい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 102.087 caratteri · 203 schermate

Aozora Bunko

聞けばもうこの九月のうちに雪が来たのであったそうだ。

寒い寒いと云いながらも窓をあけて、顎を炬燵の上に載せたまま二人ともぼんやりと雨を眺めていた。これから六里、川原湯まで濡れて歩くのがいかにも侘しいことに考えられ始めたのだ。それかと云ってこの宿に雨のあがるまで滞在する勇気もなかった。酔った勢いで斯うした所へ出て来たことがそぞろに後悔せられて、いっそまた軽井沢へ引返えそうかとも迷っているうちに、意外に高い汽笛を響かせながら例の小さな汽車は宿屋の前から軽井沢をさして出て行ってしまった。それに乗り遅れれば、午後にもう一度出るのまで待たねばならぬという。

が、草津行きの自動車ならば程なく此処から出るということを知った。そしてまた頭の中に草津を中心に地図を展げて、第二の予定を作ることになった。

そうなると急に気も軽く、窓さきに濡れながらそよいでいる痩せ痩せたコスモスの花も、遥か下に煙って見ゆる渓の川原も対岸の霧のなかに見えつ隠れつしている鮮かな紅葉の色も、すべてみな旅らしい心をそそりたてて来た。

やがて自動車に乗る。かなり危険な山坂を、しかも雨中のぬかるみに馳せ登るのでたびたび胆を冷やさせられたが、それでも次第に山の高みに運ばれてゆく気持は狭くうす暗い車中にいてもよく解った。