Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
みなかみきこう
みなかみ紀行
若山 牧水
Leggi みなかみ紀行 (みなかみきこう) di 若山 牧水 (わかやまぼくすい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 102.087 caratteri · 203 schermate
波の寄せている磯まではほんの十間もないほどの僅かに平たい谷間で、あたりには同じく松がまばらに立ち並び、間々雑木が混っていた。三宅翁は携えた杖で茂った草や落葉をかき分けていたが、やがて目顔で私を呼んだ。行って見ると、その杖の先には小さな石を畳んだ石垣風の所が少し現われていた。
「どうした建築の法式でしたか、この石垣が三段に分れて積まれています、此処が一段とその上と、もひとつ上の平地と……」
翁の杖の先に従って眼を移すと、成程それぞれ三坪ほどの平地を置いて、二三尺の高さに三段に重なっているのである。想うにこの一段ごとに一軒ずつの小屋があり、御座所やお召使または警護の者共それぞれの住所にあてられていたものらしいと想われた。二坪ほどの御居間に三年余もお籠りになった当時の御心持を想うと、古い歴史のまぼろしが明かに眼の前に現われて来る様な昂奮を覚えずにはいられなかった。仰げば峰まで二三丁の嶮しい高さ、下はとろとろと直ぐ浪打際になって、真白な小波が寄せて居る。住民とても殆んど無かったと伝えらるる当時のこの小さな島の事を心に描いて来ると、あたりに立っている松の木も茅萱の穂も全く現代のものではない様な杳かな杳かな心地になって来るのであった。