Classici giapponesi con furigana
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キャラコさん
キャラコさん
久生 十蘭
Leggi キャラコさん di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 28.043 caratteri · 56 schermate
槇子の隣りの揺椅子には、妹の麻耶子が、いつもするとおり斜めに腰をかけ、左手を顔にあてて傾けながら、小指は気どったようすで唇の方へまげている。
姉の槇子よりは二つしたの二十一で、姉ほど美しくはないが、そのかわり、もっと底意地のわるい顔をしている。年よりは老けた沈んだ色のウールのブラウスをきて、まるでこの場の空気になんの関係もないといったような冷淡な態度をとっている。じろじろ観察するだけで、めったに自分の意見を出さないのがこの娘の癖なのである。
ピアノの横の方には、槇子たちの取巻きの一団、――パイプをくゆらしているワニ君。顎のニキビをひねくっているポン君。長い脛をもちあつかって足を組んだりほぐしたりしているアシ君。こういった連中がひとかたまりになっている。いずれも金持ののらくら息子。ダンスとゴルフとドライヴ、この三つのヴァライエティだけが生活の全部で、槇子姉妹に奴隷のように頤使されるのをたいへん光栄に存じている。ところで、この社交室に欠かしたことのない沼間夫人の顔が見えないのは、たぶんお散歩の時間にあたるからであろう。
こんなとこにまごまごしていないで、はやく逃げ出せばいいのにと、剛子がやきもきしているのに、猪股氏のほうは立ちあがることも忘れたように、見るもあわれにしおれかえっている。